キは機、期、気…いろいろあるけど。変わらぬものでもある。アラサーのサラリーマン時代、外資系IT企業に偶然の中途採用で入ったものの、生まれたばかりの乳飲児を抱えて首にならないように必死だった頃、流行りのビジネス書を毎週のように漁っていたが、実際のビジネスマナーの扱いで躊躇したことが何度かあった。外資系なので、役職では呼ばず「さん」付で社長までも呼びそうなオープンな社風にもびっくりしたものだが、一番驚いたのが、コンサルタントのビジネスルールだった。これは、のちにビジネスマンとなると大いに役に立つものと実感しているので、いくつかあげていこう。
1、クライアントとのうち合わせの時間は絶対だが、準備万端でなければ整うまで遅れることもやむなし もちろん、ビジネスでは時間ルールは大前提で、これを破るものは話にならないのは言うまでもない。私もそう信じてるし、それは変わらない。しかし、ビジネスマンとして臨機応変にルールーブレイカーになる決断力が必要ということだ。 あるプロジェクトで、出張で初めて国内便の飛行機で九州のあるお客様に伺うことになった。ウキウキの私を尻目に徹夜明けドロドロの同僚を羽田空港ロビーのベンチで迎えて、無事現地営業所に着いたところ、何やら資料をめぐって現地スタッフが慌ただしい。我々の資料は早朝に送ってあるが、何か問題があったのか?と焦っていたら、最終チェックで別の場所で大きな数字のミスが見つかり、メンバー総出で同様の間違い探しをしているとのことだ。 クライアントは地元で有名な金融機関ということもあって、メンバーも精鋭が入り、束ねるPMはベテランで実力もあるAさん。決して声を荒げることなく、適切にトラブル回避を指示していた。お昼からのプレゼンなのだが、午前11時を回る頃、部下の状況を見て先方に30分(これは全員分印刷して製本する時間に匹敵する)会議を遅らせることを謝罪連絡する指示を出した。 会議自体は謝罪で始まったものの、特に問題もなく、Aさんから、クライアントの役員らは東京からきた我々を、珍しい動物でも見るかのように楽しんでいたと笑って話していたが、帰りのタクシーで同席したAさんに「メンバーには言えないけどね、遅刻は確かに大きなペナルティだけど、正直PMの私の責任ですむ。マナーは今後のプロジェクトで挽回もできる。でも、あのまま間違いのある書類を出していたら、これからのビジネスがどうなっていたか。間違った成果物を提出するのは会社の信用を失墜させることになるから、俺が首になって責任取るとかのレベルじゃないからね。」 その当時、時間厳守ができるビジネスマンの絶対法則!とかの本を読んでいた私は内心、(ふーん。でも遅れるのはやっぱ良くないし、Aさん、本当にできる人なのかな?ちょっとカッコ悪いよね〜)と呑気に生返事していたが、Aさんが言いたかったのは、遅刻が認められるのではなく、ビジネスマンなら、挽回できるミスとそうでないものの区別をつけろ!ということだった。(だいぶ後になってわかりました…) 2、ミーティングに遅刻しても直接怒られることは滅多にないが、次のプロジェクトには呼ばれなくなる 先程の反対になるが(笑)、今度はミーティングの遅刻についてだ。ミーティングに遅れることは社内外ともに非常に良くないルール違反である。5分程度の遅刻を繰り返す常習犯は持っての他だが、一番問題なのが、交通機関の遅れなど外部要因を理由に繰り返した場合だ。本人は、交通機関の遅れは仕方ない、誰のせいでもない(それが自分への言い訳だが)として、駆けつけた時に軽く言い訳して会議の席に着くだろう。もちろん、その場で軽く一笑に付される場合がほとんどだが、内心は笑っていない。 確かに、新しいプロジェクトで遠方のクライアント場合、最初の頃に偶然起きるかもしれない。例えば事故や渋滞などを理由に恐らく1回は許されるだろう。問題はその後だ。2回以上繰り返すと流石にメンバーに不満が出る。なぜなら同じような経路でもっと早く現地についているメンバーもいるからだ。結果、本人の意識の低さ、ビジネスマナーの悪さが浮かび上がってくる。 私がPMをしたあるプロジェクトは、クライアントの事業所が少し地方にあり、交通弁が悪いところだった。そのため、ミーティングは基本クライアント標準の1時間遅れに調整をしていただいていた。 問題のベンダーさんは仕事はそれなりにこなしてくれたが、2週間に一回のミーティングで3回ほど遅刻した。遅刻の時は直前に少し遅れますとの連絡がくる。プロジェクトは年間なのでわずかだと言えばその通りだが、そうしたやり方で3回目の遅刻があったミーティングの後、そのベンダーさんが先に帰ってからクライアントの責任者に呼び出されて注意を受けた。 「ベンダーさんが遠方で事情は考慮しますが、流石に直前で遅刻3回はあり得ません。来月からの継続プロジェクトではあのベンダーは外して、別のベンダーをご準備ください。早野さんに直接責任があるとは言いたくないですが、流石に他の事業部の責任者に説明できませんので。」 要するに、同じトラブルに見舞われることを学習せず、回避策も代替案も何も準備しないベンダーは要らないという理由だからだ。 私はこうした経験から、特に1時間以上伺うのに時間がかかるクライアントには、できればその1時間前に着くように調整して家を出るようにしている。これだけでないが、ちょっとしたことをどう捉えるのか?これはのちほど、ビジネスマンにとって、些細なことを軽んじることなく、何か常に心がけるセンスを身につけることが、この世界で生きていくための術と確信に至ったからだ。私のような小さな会社だけでなく、中小企業でも、巨大なファームでも同じだったので、これはビジネス規模に関係ないいわばビジネス界の生きる鉄則なのだろう。 次回は、こうしたビジネスマンの心掛けるセンスについてお話ししたいと思います。
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サラリーマンからビジネスマンへ 「もらう人から起こす人へ」HOW TO / KNOW HOW
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7 月 2021
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